
はじめに
Web広告やマーケティングの分野では、日々さまざまな専門用語が使われています。
SEO、リスティング広告、SNS運用、CVR、CPA…。
業務の中で頻繁に登場するものの、意味が曖昧なまま使ってしまっている用語もあるかもしれません。
本記事では、Web広告をはじめとするデジタルマーケティングに関する基本用語を分かりやすく整理しました。
マーケティングに携わる方はもちろん、これから知識を深めたい方にとっても用語理解の一助となれば幸いです。
1.広告の基本的な種類
運用型広告
広告出稿期間中に、入札額や広告素材などを運用する前提で配信する広告。
純広告
Webメディアの広告枠を買い取る形で出稿する広告。「予約型広告」と呼ばれることもある。
サーチ広告/リスティング広告(検索連動型広告)
検索キーワードに関連して表示される広告。
ディスプレイ広告
Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告の総称。
バナー広告
Webページ上やアプリに配置される画像形式の広告。視認性が高く、短時間で多くの情報を伝えられるのが特徴。
動画広告
動画形式で配信される広告。YouTubeやSNSなどのプラットフォームで広く使用され、視覚と音声で強力なメッセージを伝えられます。
ダイナミック広告
ユーザーのサイト閲覧状況などの行動に合わせて、最適な広告クリエイティブを自動的に生成して掲載できる広告配信手法。ユーザーの行動データを活用し、パーソナライズされた広告を配信することで購買意欲を高め、コンバージョン率を向上させることが目的です。
代表的な企業にCriteoがあります。
インストリーム広告
動画コンテンツの再生前、または後に挿入される広告で、視聴者に対して効果的にアプローチします。
ネイティブ広告
記事やコンテンツに自然に溶け込む形で表示される広告。ユーザーの広告回避意識を低下させる効果があります。
アフィリエイト
成果報酬型の広告。広告主がパートナーに対し購買や登録などの成果に応じて報酬を支払う形式です。
YouTube広告
YouTubeやGoogle動画パートナーに配信できる動画形式の広告。動画の視聴前や視聴中の画面、YouTubeのTOPページや検索結果ページなどに表示されます。
リッチメディア広告
Web上で情報やメッセージをより魅力的かつ効果的に伝えるデジタルメディア形式のこと。アニメーションや動画が流れるものや、ユーザーが操作可能な広告などがあります。
2.広告配信技術とプラットフォーム
Googleディスプレイネットワーク(GDN)
Googleが提供するアドネットワーク。Googleの提携サイトやアプリ上の広告枠に表示される広告。
Yahoo!広告ディスプレイ広告(YDA ※旧:YDN)
Yahoo!が提供するアドネットワーク。Yahoo!の関連サイトやLINEの広告枠に表示される広告。
DSP(Demand Side Platform)
広告主が複数の広告枠を効率的に購入・管理するためのプラットフォーム。広告の運用を自動化します。
SSP(Supply Side Platform)
媒体(Webサイト運営者)が広告枠を管理し、収益を最大化するためのプラットフォーム。
RTB(Real-Time Bidding)
広告枠をリアルタイムのオークション形式で取引する仕組み。効率的にターゲットに広告を届ける技術です。
プログラマティック広告
広告枠の取引や配信をデータに基づいて自動化する仕組み全般を指します。
PMP(プライベートマーケットプレイス)
特定の広告主と媒体が、事前に条件を設定して行う直接取引の広告枠販売形式。
DMP(Data Management Platform)
ユーザーデータを収集・管理し、広告配信に活用するプラットフォーム。
CDP(Customer Data Platform)
顧客データを統合・分析し、パーソナライズ広告に活用するプラットフォーム。
アドネットワーク
広告主と媒体をつなぐプラットフォーム。
アドエクスチェンジ
複数の広告ネットワーク間で広告枠を取引する仕組み。
3.広告ターゲティングとデータ活用
リターゲティング(Retargeting)
過去にサイトを訪問したユーザーに対して再度広告を表示し、購買意欲を高める手法です。
オーディエンスターゲティング
特定の属性や興味を持つユーザー層をターゲットにして広告を配信する形式。
コンテクスチュアルターゲティング
コンテンツの内容に基づいて関連する広告を表示。
ジオターゲティング(GEOターゲティング/位置情報ターゲティング)
ユーザーの地理的な位置情報に基づいて広告を配信。
ビヘイビアターゲティング(行動ターゲティング)
ユーザーの行動履歴に基づいて広告を配信。
デモグラフィックターゲティング
年齢、性別、職業などのデータに基づいて広告を配信。
レコメンドウィジェット広告
ユーザーの閲覧傾向やコンテンツの文脈に基づいて関連性の高い記事や広告が自動で表示される。
エリアターゲティング
IPアドレスやデバイスの位置情報データを活用し、特定の場所をターゲティングした広告。
パーソナライズ広告
ユーザー個々の好みや興味に基づいてカスタマイズされた広告。
コンバージョンAPI
企業が広告成果を計測しやすくするためのツール。ユーザーの行動データ(購入、フォーム送信など)をWebサイトやアプリから直接、広告プラットフォームに送信することができます。
ダイナミックリターゲティング
過去にWebサイトやアプリを訪れたユーザーに対して、閲覧した商品や関連する商品を自動的に表示する手法。
4.広告効果を測る指標
CPM(Cost Per Mille)
1,000回表示ごとにかかるコスト。
CPC(Cost Per Click)
広告が1回クリックされるごとに発生するコスト。
CPA(Cost Per Acquisition)
成果1件あたりにかかるコスト。
CTR(Click Through Rate)
クリック率。クリック数÷表示回数×100
CVR(Conversion Rate)
コンバージョン率。コンバージョン数÷クリック数×100
ROAS(Retum On Advertising Spend)
広告費用に対する売上の割合。
LTV(Life Time Value)
顧客が生涯を通じてもたらす総収益。
Imp(Impression)
広告が表示された回数。
ブランドリフト
広告が認知度や好感度に与えた影響。
エンゲージメント率
投稿や広告に対してユーザーがとった行動の割合。
PV(Page View)
ページが閲覧された回数。
UU(Unique User)
特定期間内のユニークユーザー数。
ROI(Return On Investment)
支払った投資額に対して得られた利益の割合(倍率)。売上-投資額。
フリークエンシー
ユーザー1人当たりが何回その広告に接触したかを表す指標。
5.SEM・SEO関連用語
SEO(Search Engine Optimization)
検索エンジン最適化。Webサイトの検索順位を上げるための施策全般を指します。
SEM(Search Engine Marketing)
検索エンジンを活用したマーケティングの総称。SEOとPPC(ペイ・パー・クリック広告)が含まれます。
オーガニック検索
広告ではなく、自然な検索結果からWebサイトが訪問されること。
広告ランク(Ad Rank)
広告の表示順位を決める指標。入札額、広告の品質スコア、広告表示オプションが影響します。
キーワード
ユーザーが検索エンジンで入力する単語やフレーズ。SEO施策の基本。
内部リンク
同じWebサイト内の他のページへリンクを貼ること。ナビゲーションやSEO効果を向上させます。
外部リンク
他のWebサイトへのリンク。信頼性を示す一方、ユーザーを外部に流出させることにもなります。
被リンク
他のWebサイトから自分のサイトへのリンク。検索順位に大きく影響します。
サイトマップ
検索エンジンにWebサイトの構造を伝えるXML形式のファイル。
クローラー
検索エンジンがWebサイトを巡回して情報を収集するためのプログラム。
インデックス
検索エンジンがWebページをデータベースに登録すること。
コンテンツマーケティング
価値のあるコンテンツを提供してユーザーを引き付け、育成する戦略。
ユーザーエクスペリエンス(UX)
Webサイトを利用する際のユーザー体験。SEOにおいても重要視されます。
E-E-A-T(Expertise, Experience, Authoritativeness, Trustworthiness)
Googleが求める品質評価基準。専門性、経験、権威性、信頼性を意味します。
ページ品質
GoogleがWebページの価値を評価する際の基準。
モバイルフレンドリー
モバイルデバイスでの表示や操作が快適であること。モバイル対応は検索順位に影響します。
ページ速度
ページが読み込まれる速さ。SEOのランキング要因に含まれます。
ローカルSEO
特定の地域での検索結果を最適化する手法。Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)が鍵。
NAP情報
ビジネスの名称(Name)、住所(Address)、電話番号(Phone Number)の情報。ローカルSEOに不可欠。
ドメインオーソリティ
Webサイト全体の信頼性や権威性を示すスコア。
6.戦略と運用
アトリビューション
コンバージョンに至るまでの経路での広告の貢献度を分析。
コンテンツマーケティング
価値のあるコンテンツを提供し、ブランドへの関心を高める手法。
インフルエンサーマーケティング
影響力のある人物を活用した広告手法。
クロスデバイス広告
複数のデバイスにまたがるユーザー行動を追跡し広告を配信。
オムニチャンネルマーケティング
オンラインとオフラインのすべてのチャネルを統合した広告戦略。
A/Bテスト
広告やランディングページの異なるバージョンを比較して効果を計測。
クリエイティブ最適化
広告のデザインや内容を改善し、効果を最大化するプロセス。
ダイナミック広告
ユーザーごとに内容をパーソナライズして表示する広告。
マルチチャネル広告
複数のプラットフォームで広告を展開。
ホワイトリスト
信頼できる媒体やサイトに限定して広告を配信。
ブラックリスト
広告を表示しない媒体やサイトを設定。
クリックファーム対策
不正クリックを防止する仕組み。
リッチメディア広告
動画やアニメーションを使用した高度なインタラクティブ広告。
サードパーティークッキー(3rd Party Cookie)
他のドメインで収集されたデータを活用する仕組み。
ファーストパーティーデータ(1st Party Data)
企業が直接収集した顧客データ。
LP(Landing Page)
Web広告をクリックした際に表示されるページ。
LPO(Landing Page Optimization)
LPのコンバージョン率を高める戦略を練ること。
CTA(Call To Action)
LPに訪問したユーザーをコンバージョンに誘導するためのボタンやリンクの形のもの。
オウンドメディア
自社で保有するメディアのこと。
コンテンツマーケティング
コンテンツを使用して、見込み顧客や顧客とコミュニケーションをとるマーケティング手法。
カスタマージャーニー
顧客の購買行動の一連の流れのこと。
PDCA(Plan-Do-Check-Action)
計画、実行、測定、改善までの仮説・検証する一連の流れのこと。
CRM(Customer Relationship Management)
顧客関係管理のこと。顧客の情報を正確に把握し、顧客情報をビジネスに活用する手法。
7. Google Analytics 4(GA4)での主要な指標
ユーザーに関する指標
アクティブユーザー(Active Users)
特定の期間内にWebサイトやアプリを積極的に利用したユーザー数。
注:GA4ではこの指標が「ユーザー数」を示す重要な指標になっています。
新規ユーザー(New Users)
初めてWebサイトやアプリに訪れたユーザー数。新規顧客の獲得状況を把握します。
リピーター(Returning Users)
過去に訪問したことがあるユーザーが再訪した数。
イベントに関する指標
イベント数(Event Count)
記録されたイベントの総数。ページビューやクリック、特定のアクションがイベントとして記録されます。
イベント数/ユーザー(Events per User)
1人のユーザーあたりの平均イベント数。ユーザーのエンゲージメント度合いを示します。
コンバージョン数(Conversions)
設定した目標(コンバージョンイベント)が達成された回数。
例:購入、会員登録など
カスタムイベント
独自に設定したトラッキング項目。
例:ボタンのクリック、フォーム送信など
トラフィックに関する指標
セッション数(Sessions)
ユーザーがWebサイトやアプリを訪問した回数。GA4ではセッションが30分の非活動で終了します。
エンゲージメントセッション数(Engaged Sessions)
10秒以上の滞在、コンバージョンイベントの実行、または2ページ以上の閲覧を行ったセッション数。
セッション継続時間(Session Duration)
セッションの平均時間。
例:滞在時間が長いほど、コンテンツが魅力的である可能性があります。
セッション単価(Cost per Session)
広告キャンペーンの評価指標で、1セッションを得るのにかかったコストを示します。
エンゲージメントに関する指標
エンゲージメント率(Engagement Rate)
エンゲージメントセッション数÷総セッション数×100。従来の直帰率の代わりに使われる新しい指標。
スクロールイベント
ページがどれだけスクロールされたかを測定。エンゲージメント度を示す。
ユーザーあたりのエンゲージメント時間
1人のユーザーがWebサイトやアプリで費やした平均時間。
コンバージョンに関する指標
コンバージョン率(Conversion Rate)
特定のイベントが発生した割合。
例:購入数÷総セッション数×100
コンバージョンパス
ユーザーがコンバージョンに至るまでの経路。
例:広告→ページ→購入
チャネルやキャンペーンに関する指標
トラフィックソース(Traffic Source)
ユーザーがどのチャネル(例:オーガニック検索、広告、SNS)から訪問したかを分析。
参照元/メディア(Source/Medium)
具体的な参照元と配信チャネル。
例:Google/organic
キャンペーン(Campaign)
UTMパラメータを使用して計測されるキャンペーン名。
例:冬のセールキャンペーン
Eコマースに関する指標
購入イベント(Purchase Events)
購入が発生した回数。
収益(Revenue)
商品やサービスの売上合計。Eコマースの設定でトラッキング可能。
平均注文金額(Average Purchase Revenue)
1回の購入で得られる平均売上。
カート追加イベント(Add to Cart)
カートに商品が追加された回数。
商品詳細閲覧(View Item)
商品ページが閲覧された回数。
技術関連の指標
デバイスカテゴリ(Device Category)
ユーザーが利用したデバイス。
例:デスクトップ、モバイル、タブレット
ページロード時間(Page Load Time)
ページが読み込まれるまでの平均時間。
スクリーンビュー(Screen Views)
アプリでの画面推移がどれだけ行われたかを測定。
その他
デモグラフィックデータ
ユーザーの属性
例:年齢、性別、地域
行動フロー(User Flow)
ユーザーがサイト内をどのように移動したかを可視化。
おわりに
マーケティング施策を正しく評価・改善していくためには、基礎的な用語の理解が欠かせません。
用語を正確に捉えることで、チーム内やパートナー企業とのコミュニケーションもよりスムーズになります。
今後も実務で役立つ情報を継続的に発信してまいります。
ご覧いただいた方の業務や学習のヒントとなれば幸いです。
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