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ビービーエフ 様 インタビューセッション

  • 2022.11.29

株式会社ビービーエフ(以下、BBF)は、主にファッションブランド向けにECサイト構築・運用のサポート、マーケティング支援を事業としている企業だ。BBFでは、様々なブランドを取り扱うことで蓄積されたノウハウを用いて、売上を最大化させるための総合的な支援を行っている。

グラフトンノートは、BBFのWeb広告運用部隊としてパートナー関係にあり、BBFのクライアントであるECサイトへの集客支援を担っている

今まで延べ80件以上のECサイト案件での協業実績があり、グラフトンノート創業期からの心強いパートナーであるBBFの安住さんに、弊社との馴れ初めや、これからのパートナーシップについてお話しいただいた

ブランドの売上を上げるために広告領域のサポートが必要だと感じていた

安住

BBFの創業は2005年で、私は2016年の頭に入社しました。グラフトンノートとは、私が入社してすぐに取り組みをはじめています。元々は私の前職の大手女性下着会社のときに矢野さんとご一緒したことがあり、矢野さん個人とはその頃からのパートナーシップ関係です。

BBFでは、中小~大規模の企業を中心に、百数十サイト・約400ブランドの支援を行っています。規模の大きいブランドの場合には、開発やEC運用、PR・マーケティング部隊がインハウスにあったり、WEB広告を自らできるケースもあります。ところが、中小のブランドだとBBFのようにフルフィルメントで開発体制や運用サポート人材を持っている企業に依頼し伴走した方が、アパレル企画やMD、ブランディングといった本業にリソースが集中できて良いという場合が多いと思います。

中小のブランドの場合には、「ECシステムや3rd Partyツールの選定や技術知見、WEB分析、マーケティング、CRMなど多岐に渡る知識があり、業務遂行可能な人材」を継続的に維持・育成していくことは、非常に困難だからです。

グラフトンノートとの取り組みが始まるまでは、こうしたブランド様へのWeb広告領域での支援は検索広告の指名検索など小規模な広告運用しかお手伝いをしていませんでした。

私も事業側にいた時はWEB広告領域も見ていましたが、WEB広告は運用するのが難しいと感じています。広告のプラットフォームは移り変わりが速く、例えばひと昔前までメジャーな配信手法であったDSPも、Cookie規制などで、いまではあまりメジャーではなくなるなど、すぐにトレンドが変わっていきます。Instagram広告なども手法やロジックは目まぐるしく変化していきます。

ブランドの売上を増やすためにBBFが提供する付加価値として、WEB広告領域によるサポートが必要だと感じていました。

クオリティの高いサポートを続けられる代理店を探していた

安住

前職の頃も、WEB広告代理店選びには非常に苦労しました。広告代理店に任せようとしたときに、単体ブランドでWEB広告予算の規模が大きければ、代理店側のスキルの高い担当者をアサインしてくれるケースもありますが、予算規模が小さいと新人さんや経験の浅い人材をアサインされることが多々あります。また、広告代理店は人の流動性が高いので、せっかく良い担当社とめぐり合ってもその担当者が異動や転職でいなくなってしまい、担当変更が繰り返されることもあります。

また、WEB広告に限らずSEOなど他のWeb施策もそうですが、学び続けるのを止めてしまうと一気に情報が古くなってしまいます。そのため、限られた予算しかないブランドに対してもしっかりとした専門知識をもとに、クオリティの高いサポートを行い続けられる代理店を探すというのは難易度の高いことでした。

そこで、当時、創業したばかりの矢野さんに広告領域のサポートをお願いできないかと相談をしました。当時はグラフトンノートもまだ広告代理事業に注力していなかったのですが、前職でご一緒したときに矢野さんの人となりは知っていましたので、適任だと感じました。

矢野

その後、いきなり有名ブランドの案件をご支援する形でお取り組みがスタートしました。
その頃は安住さんもBBFにご転職されたばかりで、BBF社内の皆様に対して、Web広告を使った新しい取り組みを打ち出していきたいという背景もありました。

安住

今後しっかりとした支援体制を広げていくにあたって、ある程度の予算がないとWEB広告代理店側のチームを作りにくいというのは、私も経験上知っていました。ですので、最初の取り組みとしては一定のバジェットがあり、名のあるブランドを選択しました。そこから案件としての実績ができれば、支援の数を広げていくこともできるだろうと考え、中小規模のブランド様も徐々にお任せしはじめました。

別の広告代理店に依頼していたブランドもあったのですが、やはり中小規模のWEB広告の予算だと注力しきれないという声が代理店側からも出てきたので、そういったところもグラフトンノートに移管していきました。

BBFではフルフィルメントとしてブランドを幅広く支援しているのですが、WEB広告やSEOといった専門性の高い部分はBBFのWebディレクターだけで見るのは限界があると思っていました。そこで、2016年ごろからはグラフトンノートを含めた専門性があり信頼ができるパートナーを加え、分業化した取り組みを導入しました。

「パフォーマンスを出すことが最重要」という思想が浸透している

安住

最初にお任せしてからは、順調に案件が増えていきました。グラフトンノートも、案件の拡大に合わせていい人が増えていき、優秀な方が集まってきたなと感じたのが2018,19年頃でした。

さきほど言ったように、WEB広告手法や、SEOなどの情報を常にアップデートし続けられないと知識は廃れていくわけですが、グラフトンノートはそこが自ずと形になっていると感じます。これは、他の広告代理店を見渡してもなかなかできていないことだと思います。組織が大きくなると、教育・育成も行き渡らなくなり、また担当者が自ら学び、知識や情報を更新していくという組織文化自体が薄くなってしまうこともあるからです。

我々の案件に対応できるように、ある程度の規模の組織を整え、しかもWEB広告経由でのパフォーマンスも確実に出してもらっているというのは、グラフトンノートとの取り組みのなかでとても価値があり、特に助けてもらっていると感じる部分です。

グラフトンノートのみなさんは、真面目な方が多く、ブランド様の売上に貢献するパフォーマンスを出すことが最重要という考えのもとWEB広告運用を行ってくれています。これもやはり、他のWEB広告代理店ではなかなかないことです。こういった矢野さんの思想が浸透しているのが、グラフトンノートの一番いいところだと思います。

矢野
嬉しいですね。こういうことを言っていただけると励みになります。
安住

チームや組織作りは、誰がどういう思想で作るかということが重要です。中心人物がいなくなると一気に崩れてしまうこともあります。よく「属人的にならないほうがいい」とは言われますが、絶対に組織は属人的な部分をゼロにはできない。だからこそ、その組織の中にいる人がどういう人たちで、どんな思想・想いを持ってるかということが大事だと考えています。

大きな組織だと、創業者の思想・想いが途絶えて杓子定規なお付き合いになってしまい、ビジネスの面白さが失われてしまうこともあります。

矢野

いまお話いただいた思想・想いは安住さんと僕の間では共通理解が存在しているものの、当時のBBF様と僕とではビジネスの規模感が違っていたので、ついていくのに必死でした。

最初のお取り組みから、少しずつ案件が増えていき、気がついたら当時いたメンバーと僕の2人で20ブランドぐらい運用するようになっていました。そのあたりから、僕も本気で組織を作らないと安住さんの期待に応えられないと考えるようになりました。

僕に期待してくれているクオリティを維持しつつ、どのようにチームを作っていくのかという課題に真剣に向きあったのは、BBF様とのお取り組みがあってこそでした。

安住さんとの出会い

矢野

安住さんとは、もう10年近くお付き合いさせていただいています。

安住

私が前職の女性下着会社にいたころ、テレアポで突然連絡をいただいたのがはじまりです。

矢野さんもグラフトンノートを創業される前で、当時は動画広告DSPの営業として前職に3年ほど通ってくださっていました。しかし、2012年当時は動画広告はスタート期にあり、配信実績も少なく、効果検証や出稿の最適解もわからないなかでしたので、なかなか導入はできずにいました。

矢野

当時は日本ではじめて国産のDSPが出てきた頃で、世間がようやくアドテクに注目し始めたタイミングでしたが、安住さんは感度が高いので我々の話をとても理解してくださっていました。

あの時は、こういった方と一緒に仕事をしたいという気持ちと、ここまで通ってるのだから絶対に発注してもらうぞという気持ちで、安住さんのところへ足を運んでいました。

安住

あのとき矢野さんが持ってきていたソリューションが動画DSPの先駆けだったことは間違いなかったのですが、YoutubeやWeb媒体に動画を出しても効果が期待しにくい時代で、運用型の動画DSPは使い所が難しいと感じていました。

ただ、矢野さんはいつも有意義な最新の情報を持ってきてくださるので、定期的にずっとお会いしていました。お話していて信頼もできるので、いつかはお仕事をお願いしたいとも思っていたんですが、なかなかタイミングが合いませんでした。

私が前職を辞める前にようやくご一緒でき、期待通り、他社よりも圧倒的な動画DSP+WEB広告を用いたパフォーマンスを出していただいたのが非常に印象的です。

前職での最後の仕事をやっていなかったとしても、いずれどこかでご一緒はしていたと思いますが、あの時にお仕事をお任せできて良かったと思っています。

あの時の取り組みが、現在のグラフトンノートとのパートナーシップにつながっているとも言えます。

安住さんから見た矢野の印象

安住

矢野さんは、WEB広告オタクで、現在も常に勉強家だし、人柄も良いし、一緒に仕事してからはもう本当に頼りっぱなしです。パフォーマンスを絶対出してくれる。私が想定している以上に、自ら細かい工夫もしてくれる。

あとは正直ですよね。「この広告はやっても効果がないです」って広告主に普通に言う。

他の広告代理店だと、効果がないものでも「こんなメニューあるんですけどやりませんか」って言いがちじゃないですか。

僕は前職で広告主側にいたときにも、WEB広告代理店から「こんな新しいWEB広告が出てきました」と言われた際には、小規模予算で試してみて効果出なかったらすぐにやめましょう、と伝えてましたけど、矢野さんはWEB広告代理店の立場でありながら、自らそれを正直に伝えてくれます。

WEB広告代理店は、仮にパフォーマンスが出なくても、広告配信費用の手数料をもらうビジネスモデルだから、WEB広告予算が大きければ、厳密に言えば、何だっていいわけじゃないですか。
提案したWEB広告のパフォーマンスが出なかったとしても、(言い方は悪いですが)適当な言い訳をすればいいので。でもそれを変に言い訳しないっていうのは、矢野さんの強みだし、結果を正直に伝えていくからブランドからも信頼されます。

矢野

現在、安住さんはBBFでブランドを支援する側として、「しっかりブランドの売上を上げるのが大事だ、そのためにWEB広告やSEOを効果的に組み合わせてやっていこう」と言っているのに、我々だけがWEB広告費を頂いて儲けていくのは違うと思っています。安住さんやBBFさんの思想・想いに反するし、我々もそういう思想・想いの会社じゃない。

WEB広告をやらなくても売れるならそれに越したことはなく、わざわざWEB広告にお金掛けなくてもいいですよねと伝えることもあります。

WEB広告運用が変化していくなかで「代理店」に求めること

安住

これから先の情報の伝え方やプラットフォームって、更に速く大きく変化していくと思うんです。GoogleやInstgaramがWEBの世界の中で、未来永劫 強い存在なのかといったら それもわからなくなっていくと思っています。

そんな変化の中で、BtoCビジネスを続けていこうとしたときに、商品やサービスの情報を誰かに何とかして届けていかないと売上にはつながらない。だからそのWEB世界の変化を捉えていくことは、今後も本当に大事だと思うんですよね。


いまはグラフトンノートにWEB広告運用をお願いしていますけど、そのWEB世界の変化についていくことが一番重要だと思ってます。だから今でも矢野さんには、WEB広告の戦略や戦術だけの話をしてほしいわけではないんだと伝えています。

矢野

そう、たしかにWEB広告運用の入札業務とかはAIで効率化できるんですけど、実はいまデジタル広告の業務って、運用だけじゃなくて他のトラブルシュートなどの対応が増えてるんですよね。タグの問題とか、ドメイン認証とか、よくわからない理由でInstgaramのアカウントがBANされたからなんとかしてくれとか。

WEB広告をやるにしても、個人情報の取り扱いだとかさまざまなことに理解がないと出稿を開始できないこともあります。最近だとITPでCookieはどんな影響を受けて、どういう対応をしなければならない、といったことも知っておく必要があります。

WEB広告代理店に求められるスキル・力量もどんどん変わってきています。そこに対応し続けることは、僕らの価値のひとつとしてこれからも提供しなければならないと強く感じています。

安住

これから先の時代は、マーケティング、デジタルマーケティングはより難しくなると思っています。

ビジネス環境が変化する中で、もしかしたらGoogleやInstagram、Twitterなどの広告がなくなることもあるかもしれない。これからの時代は、情報が増えすぎたりメディアによって偏ったりしたことも影響していますが、ある人が自分が必要とする商品を知ったり、情報を認知する情報源は逆に限られてきているように感じています。自分で意識的に必要とする情報を取りに行かないと、自分にとって正しいことが分からなくなってくると思います。

そんな中で、どんなお手伝いができますか?ということに応えていくのがWEBも含む広告代理店業になっていくんじゃないですかね。


たしかにWEB広告の運用自動化は進んでいるけど、大事なのはWEB広告を運用するところじゃなくて、情報を集め続けて変化し続けてくれるかどうかだなと思います。今はグラフトンノートはWEB広告代理業が主たる事業のひとつだと思いますが、もともとはマーケティングコンサルティングが主軸でWEB広告代理業は積極的にやってなかったわけですし。

BBFとグラフトンノートのこれからの関係

安住

矢野さんと僕は友人でもあり仕事仲間だと思ってるんですけど、やっぱり想いや感度は近いものがあって、今後も色々な場所で、一緒に何かやっていくだろうって思ってます。

矢野

弊社のタグラインが「想像以上を、ずっと共に」に決まったのですが、高いレベルでずっと友人として一緒に仕事を続けるっていう意味なんですね。
いま「友人であり」ってキーワードが出てきたのが、まさに僕たちが体現したいクライアントとのパートナーシップだなと感じていて、そう言っていただけたのがすごく嬉しいです。

安住

BBFはずっと「黒子ビジネスです」という言い方をしてます。ブランドに対してECシステムとデジタルマーケティングなどの部分でサポートさせていただくというのは、まさに黒子のようだと僕も思ってます。

先ほどの繰り返しになりますが、中小のブランドにもっと売上があれば、しっかりしたWEB運営組織を作っていくことができますが、WEB売上が少ない会社ではWEB担当者を満足に配置できないという問題があります。

WEB周りはやることが沢山ありますし、事業会社ごとに、なんでもできるスーパーマンのようなWEB担当者がいるという状況は、WEB業界も人材不足ですし、まず成り立たない。これだけECやデジタルが重要って言われているなかで、お困りのブランド、事業会社が多数あります。こうした領域のサポートをBBFはこれからも粛々と誠実にやっていきたい。

ブランド、事業会社の不足しているところを、BBFのリソースをアップデートし続けながらサポート体制を敷いていく。

日本が経済的にも厳しい時代に突入していく中で、今後も、どれだけのブランド、事業会社へ貢献することができるか、という想いが個人的にもあります。もっと踏ん張ってやっていかなければならないと思っています。

BBFはフルフィルメント業態で、ブランド・事業会社に不足しているWEB周りの業務は何でもやるのですが、他にこういうことができる会社が国内に少なくなってきています。

BBFが、これからも頑張らないといけないと感じています。

矢野

僕たちもアップデートし続けるということは引き続きやっていくのですが、安住さんがやろうとしていることにどれだけついていけるのか、価値をしっかり提供できるか、というのは常に意識しています。

ブランドによってはWEB広告以外の相談をいただくことも多くて、そのなかでどういう風に安住さんはじめBBFの皆さんの思想に沿うような形のサポートをし続けられるのか、これからも頑張っていきたいですね。