Cookieレス、ITP対応などのワードが飛び交う昨今、コンバージョンAPI(CAPI)の導入に迫られている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし「調べてみたけど、導入方法が複数あってどうしたらいいかわからない」という声もよく耳にします。
そんな方が自社にとって適切な導入方法がわかるよう、この記事ではコンバージョンAPIの基本や導入方法の解説と共に、それぞれの特徴を比較しました。
コンバージョンAPIとは
コンバージョンAPIとは、Webサイトやアプリ内のコンバージョン(その他会員登録やカート追加など特定のアクション)を計測するための技術です。
従来はCookieを利用して計測していましたが、ITPなどCookieの制限が進む中、Cookieを前提としない計測手段として注目を集めています。
コンバージョンAPIが登場した背景
ブラウザ環境におけるWeb広告では、AppleのITPによるCookie制限などから、昨今測定が不安定になってきており、効果計測はもちろん、広告配信の最適化にも影響をきたし始めています。
これはプライバシー保護のトレンドと深く関係があり、ターゲティングやトラッキングを制限するような法的・技術的規制の強化によるものです。
具体的には、個人情報保護法や電気通信事業法などの法規制と、先ほども挙げたAppleのITPやGoogleChromeのCookie制限など技術的な規制が挙げられます。
特にITPは3rd party Cookieを完全にブロックしています。
これによりiPhoneやmacのユーザーに対しては、リターゲティングの配信が困難になり、その他広告のCV計測にも影響を与えています。
GoogleChromeもCookieの廃止を発表しており、Cookieをベースとするブラウザ環境の計測は不安定さを増すばかりです。
コンバージョンAPIの仕組み
このような状況の中、計測の不安定さの改善のため開発されたのがコンバージョンAPIです。その仕組みはとても単純なものです。
従来はブラウザからCVデータを送信し、効果測定を行っていました。
コンバージョンAPIではブラウザではなく、サーバーからCVデータを送信します。
ブラウザ環境の不安定さについて、Metaのヘルプでは下記のような記載があります。
コンバージョンAPIを使用してウェブサイトイベントを送信する利点
コンバージョンAPIには、次のようなメリットがあります。データの接続性を改善して顧客獲得単価を削減する。
(出典)コンバージョンAPIのしくみと、コンバージョンAPIでFacebookとInstagramの広告を改善する方法 | Metaビジネスヘルプセンター
コンバージョンAPIのデータをMetaピクセルと比べると、ブラウザーの読み込みエラー、接続の問題、広告ブロッカーの影響を受けにくくなっています。
コンバージョンAPIを利用すると、こういったブラウザに対する規制や読み込みエラー、広告ブロッカーの影響を抑え、計測の正確性や安定性が向上します。
コンバージョンAPIのメリット
コンバージョンAPIの導入には以下のようなメリットがあります。
計測精度の向上
問題を抱えるブラウザ環境からの解放により、計測精度が向上します。
多様なケースへの対応
Webサイトやアプリの計測はもちろん、CRMとの連携、オフラインで発生したCV、その他Web上で計測できないイベントなど多様なケースのイベントが計測が可能になります。
例えば、ユーザーの購入金額合計が閾値を超えて優良ユーザーとなった時に、それを送信することで、媒体はどんなユーザーが優良顧客になりやすいのかを学習・判断し、広告の最適化に活かすことができます。
広告配信の最適化促進
広告の機械学習に利用されるデータの量や種類の増加により、配信最適化の精度が向上します。例えば、CRM連携によるリード獲得広告の高精度な最適化が可能になります。
コンバージョンAPIを導入する方法
Meta コンバージョンAPIの導入方法について4種類紹介します。
各導入方法のメリット・デメリットを理解し、自社に適した導入方法を検討しましょう。
- コンバージョンAPI対応ツール「C-POP(シーポップ)」
- パートナー統合
- サーバーサイドGTM
- コンバージョンAPIゲートウェイ
C-POP(シーポップ)
グラフトンノートが提供するコンバージョンAPI対応ツール。
簡単に・すぐに・安価にコンバージョンAPI対応を実現。
- コンバージョンAPI対応をタグ埋め込みだけで解決
- 依頼をいただいてから通常3~5営業日でコンバージョンAPI対応が可能タグを発行
- 初期費用20,000円、月額5,000円~
- Meta広告, Twitter広告, LINE広告, Yahoo!ディスプレイ広告, Tikok広告, Pinterest広告の主要6媒体に対応
3STEPで実装完了できます。
- API用認証情報(アクセストークンなど)と利用中の計測タグをグラフトンノートへ共有
- グラフトンノートがコンバージョンAPI対応タグを発行
- サイトへコンバージョンAPI対応タグを設置
パートナー統合
Metaにはパートナー統合という、Metaとの連携が公式にサポートされたパートナーの仕組みがあります。
パートナー次第となりますが、たったの数クリックで簡単にコンバージョンAPI対応が可能です。
利用する広告媒体がパートナー統合に対応しているなら、まずはパートナー統合の検討がおすすめです。
shopifyを例にとると、無料のMeta公式ツールをshopifyにインストールし、トラッキングレベルを[拡張]or[最大]にするだけ。
たったそれだけで購入に関するイベントのコンバージョンAPI対応が終わります。
サーバーサイドGTM
サーバーサイドGTMによる導入では、Googleのクラウド上にGTMコンテナを構築することで、GTMでコンバージョンAPIの対応が可能になります。
自社開発するよりも簡単に導入することができ、他媒体(Meta広告,Yahoo!ディスプレイ広告,LINE広告,Pinterest広告, TikTok広告)への対応も可能な点がメリットです。
一方で、媒体によってはコーディングが必要だったり、比較的導入難易度は高めです。
Googleのクラウドサーバー利用費が発生します。
コンバージョンAPIゲートウェイ
Metaがリリースした導入方法で、Metaの管理画面からノーコードで導入が可能です。
クラウドを利用するのでエンジニアは必要ですが、比較的工数がかかりません。
一方で、Metaしか対応できないデメリットがあります。
Amazonのクラウドサーバー利用費が発生します。
Metaのドキュメントに記載されたスペックのサーバーの場合、年額$639で利用することができます。(2023/03/23時点)
コンバージョンAPI導入方法の選び方
コンバージョンAPIの導入方法を検討する際には、いくつかの注意点があります。
- エンジニアによるサポート体制
- 人的・金銭的コスト
- 対応媒体の範囲
などが主なチェックポイントになります。
状況によって重視するべき点が変わってくるので、次の解説を参考に最適な導入方法を選びましょう。
エンジニアによるサポート体制
導入方法によってはエンジニアの工数が必要になり、またそれだけでなくディレクションの工数も発生します。
コンバージョンAPIの実装には、専門的なWebエンジニアリング技術や、場合によってはクラウドコンピューティングの知識が必要です。
しかし実際の現場では、マーケティング担当者がそれら全てを細かく把握・理解するのは困難です。
どのようにエンジニアに依頼をすればいいのか分からないというケースも見受けられます。
人的・金銭的コスト
システムを社内で実装し運用する場合、自社に設置するサーバー費用あるいは、クラウド費用が発生します。サーバーの運用保守作業も必要となります。
またサーバーサイドGTMの場合はコードの保守が発生する場合があります。
パートナー統合やC-POPなどのサードパーティーツールを利用する場合は、ツール利用費が発生します。
対応媒体の範囲
導入方法によって対応媒体の範囲に差があります。
コンバージョンAPIを提供している主要な広告媒体には、
Meta, Yahoo!, Twitter, LINE, TikTok, Pinterest
などがあります。
複数の広告媒体を利用する場合は、導入予定の方法が利用媒体に対応しているか確認する必要があります。
まとめ
導入方法においておすすめ度の高い順番は「パートナー統合>C-POP(シーポップ)>サーバーサイドGTM>コンバージョンAPIゲートウェイ」です。
ただし、導入したい媒体や、コンバージョンAPIの効果をどこまで高めたいか、開発や運用についてエンジニアの力が借りやすいかなど、それぞれの状況によって最適な導入方法は変わってきます。
本記事を読んで最適な導入方法が見つかりましたか?コンバージョンAPI対応に悩む人が1人でも減れば幸いです。